ざらっとした風合いがあるのに、きれいに印刷できる好きな紙 3選。

「ざらっとした風合いがあるのに、きれいに印刷できる紙」は、通常のつるっとしたコート紙やマットコート紙とは違って、紙の表面に細かな凹凸としっとりとした質感があります。
普段、印刷物を制作していて、印刷に使う機会が多いのはマットコート紙で、写真の印刷にも適していて、コストも抑えられます。
冊子を作るときに、表紙だけ風合いのある紙を使って個性を出し、中ページは写真をきれいに表現できるマットコート紙ということもあります。
「ざらっとした風合いがあるのに、きれいに印刷できる紙」は、水彩画、筆文字、イラスト、アート作品の写真、文字だけのデザインなどと相性が良い紙です。
マットコート紙よりもコストがかかるので、クライアント様と相談しながら選んでいます。
印刷の前には色サンプルを出して、刷り上がりの色を確認するようにしています。

C o n t e n t s
▶︎ミセスB-F スーパーホワイト
▶︎ヴァンヌーボーVG-FS スノーホワイト
▶︎モデラトーンGA スノー
▶︎T目、Y目、紙の目

ミセスB-F スーパーホワイト

ミセスB-F スーパーホワイト

最初は名前が面白いと思って、興味を持った紙です。Mr.Bという紙もあります。
紙の表面はしっとりとした質感で、よく見ると細かな凹凸があります。オフセット印刷もきれいに仕上がり、インクをのせたところは少し光沢が出ます。ミセスBは印刷するための紙として、表面が塗工されているんですね。
先日、冊子の表紙にミセスBを用いて、シンプルなデザインをオフセット印刷して、イラストは金の箔押しで入れましたが、とてもいい感じに仕上がりました^^
(家庭用のインクジェットプリンターでの印刷には、適していないようです。)

特種東海製紙という会社で作られていて、多くの印刷屋さんでお取り扱いがあります。
「F」はFSC(森林認証制度)の取得、森林の管理・伐採が環境や地域社会に配慮されていることを意味しているそうです。
色は、白いほうから順に、スーパーホワイト、ホワイト、オフホワイトがあります。

ヴァンヌーボVG-FS スノーホワイト

ヴァンヌーボVG-FS スノーホワイト

アラベールという紙の質感が好きで、以前、自分の名刺にも使っていました。私の名刺はイラストだけだったので、素敵な感じに印刷できましたが、知り合いの方の顔写真を入れた名刺の時にもアラベールを使ったところ、顔色が黒めにどんよりしてしまいました。
(アラベールは塗工されていない紙なので、色調整をきちんとすれば、顔写真もきれいに印刷できたと思います。)
印刷屋さんに相談したところ、こちらのヴァンヌーボVGという紙をオススメしていただき、顔色も明るく印刷できました!
それから写真を入れたものには、ヴァンヌーボVGをよく使うようになりました。
(家庭用のインクジェットプリンターでの印刷には、適していないようです。)

ダイオーペーパープロダクツという会社で開発されていて、多くの印刷屋さんでお取り扱いがあります。
ヴァンヌーボの意味は「新しい風(VENT NOUVEAU)」とのこと。おしゃれな名前ですね。「FS」はFSC(森林認証制度)の取得、森林の管理・伐採が環境や地域社会に配慮されていることを意味しているそうです。「VG」は「V」がビジュアル、「G」がグロスの意味で、こちらも印刷用に塗工されているんですね。
色は、スノーホワイト、ホワイトがあります。
上記ミセスB-F スーパーホワイトと比べると、ヴァンヌーボVG-FS スノーホワイトよりもミセスB-F スーパーホワイトのほうが白さが強いです。表面の細かな凹凸は、同じくらいに感じます。

モデラトーンGA スノー

モデラトーンGA スノー

モデラトーンは、上記2つの紙よりもボコボコしていて、紙の表面にフェルトのような凹凸があります。イラスト入りの名刺をモデラトーンで印刷したことがありますが、手触りもよく、印象が残るような名刺に仕上がりました。
塗工されていないので、発色を重視する写真などの印刷には向いていないかもしれません。
モデラトーンをA4にカットした用紙は、インクジェットプリンターできれいにプリントできました。インクジェット用のスーパーファイン紙と比べると、にじみは多いですが、風合いがあって好きです。

こちらも、特種東海製紙という会社で作られていて、多くの印刷屋さんでお取り扱いがあります。
「GA」とは、竹尾(TAKEO)の森林認証紙・非木材紙・再生紙・ECFパルプ紙、およびその他の方法で環境に配慮している紙の総称とのことです。
色は何種類かありますが、私がお願いしている印刷屋さんの表記は、スノーという色で、上記ヴァンヌーボVG-FS スノーホワイトと同じくらいの白さです。

T目、Y目、紙の目

上記3種の紙を、自宅のプリンターでプリントできるように、今回A4にカットしていただきました。
カット注文する時に、T目・Y目というように紙の目をどちらにするか選択することになりますが、T目?Y目?どっちにしようか、と迷います。和紙製品を作る仕事の時に、その紙の目も何度も出てくるのですが、その都度、調べ直しています。
四六判(1091X788mm)や菊判(636X939mm)という大きな紙があり、それらは長方形にカットされています。T目とは「タテ目」のことで、長い辺に沿って、紙の繊維が流れています。Y目とは「ヨコ目」のことで、短い辺に沿って、紙の繊維が流れています。
A4を取り都合でカットするか(枚数をより多く取るために)、紙の目を考えてカットするか(枚数は少なくても、紙の目を優先にする)どちらかひとつの選択になる場合もあります。
今回は、A4の紙を自宅のプリンターでプリントする目的だったので、紙はT目で発注しました。和紙に比べて、洋紙は紙の繊維が短いので気にしなくても良い場合もありますが、プリンターで紙の流れる方向に合わせました。ただし、A4をきれいに三つ折りすることを一番に考えれば、Y目のほうがきれいに折ることができます。

株式会社 竹尾(TAKEO)は、デザインの勉強をし始めたばかりの10代後半くらいに、デザイン学校の友人からおしえてもらった紙の会社で、おしゃれでずっと憧れています。

株式会社 竹尾(TAKEO)
http://www.takeo.co.jp